すべての女性は、心のどこかで山姥にあこがれるのではないでしょうか? 山を廻って天地山水と一体となり、人から疎まれつつも、かわいい金太郎を背負って、大人物に育て上げる・・・ 作品としては、世阿弥による能の「山姥」(やまうば)が中世に完成し、近松門左衛門が、同じ題材を用いて、1712年に浄瑠璃「嫗山姥」(こもちやまうば)を創作しました。 常磐津「山姥」、実は正派若柳流では、師範試験の選択曲の一つです。 「妄執の雲の、塵(ちり)積って、山姥となれり、山又山に山巡りして、行方も知れずなりにけり」(常磐津「山姥」より歌詞抜粋) (写真は今朝の雪景色) 今年の十月に、わたしはこの師範試験を受けさせていただく予定です。 邪正一如の山姥の境地にたどりつくことができるとは思いませんが、与えていただいた機会に感謝して、一生懸命舞わせていただきたいと思います。 〔歌詞〕 よしあし曵きの山廻り 四季の詠めも色々に 浮き立つ空の弥生山 桃が笑えば桜がひぞる 柳は風のおうように 誰を待つやら小手招く 霞の帯の辛気らし 締めて手と手の盆踊り ななこの池に移り気の うらみ過ごしの梶の葉は 露の玉章落ち初めて 焦れて濡らす露の袖の梅 ついだまされて室咲の 梅の暦もいち早く 門に松たちゃナンナつい雛も 出るかと思えば沓手鳥 菖蒲ふく間に盆の月 待つ宵過ぎて菊の宴 はや祝い月里神楽 ほんに ほんにせわしき浮き世も我も 白雪積もる山廻り 山廻り いとま申して帰る山の 峰も梢も白砂は 源氏の栄え尽きしなき まもる神がきは妄執の雲の 塵積もって山姥となれり 山又山に山廻りして 行方も知れずなりにけり [English Translation] I wonder if all the women, in their heart, somehow adore YAMANBA, or a Mountain Woman, a prototype of a lady who lives in the mountains. She runs freely overContinue reading “常磐津 山姥”